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あれこれ

交流電流とは何か

ニコラ・テスラ(名前がずるい)の伝記(Wizard: The Life And Times Of Nikola Tesla (Citadel Press Book))を読んでいるのだけど、交流電流のことをいまいちよく理解していないために本の内容がわからんので勉強する。高校物理で出会ってから交流というのが直感的に意味がわからなくてずっと苦手意識があったのだ。

交流電流 Alternating Current とは

  • 要は時間経過と共に方向が変わる電流
  • とてもわかりやすい図を発見:水を使ったアナロジー

https://cdn.sparkfun.com/assets/a/0/7/b/a/522783e0757b7fc2168b4567.gif

Alternating Current (AC) vs. Direct Current (DC) - learn.sparkfun.com

昔の私の誤解

むかし「電気がいったり来たりする」ということが想像できなくて困ったのだけど、そのとき私が思ってたのは:電線は「線路」のようなもので、電子(電流)はそこを走る「列車」のようにイメージしていた。

今思えばそれは間違ったイメージであった。より正しくは、電線の全ての箇所にある電子がある方向に流れていくのだ。だからこそ線路と列車ではなく、水のアナロジーがより直感的に正しい。はず。

電子の速度と電流の速度は違う(下記にも詳しく)。水のアナロジーで考えれば簡単で、たとえば上記の図でピストンと抵抗(Resistor)まではそれなりに距離があるが、ピストンを押し出した"瞬間"に、抵抗にも水が流れる。でもそれはピストンの所にある水分子が一瞬で抵抗まで押し出されたわけではない;ピストンを押した瞬間、そこにある水分子自体は少ししか動かないが、水分子がお互いを押しあった「シグナル」が抵抗の水分子まで一瞬で伝わったのだ。

というのは冷静に考えれば当然ではあるのだが、こういう単純なところで誤解するとそれ以上先に進めなくなって苦手意識をもってしまうのだろう。

ここにも詳しい:Circuits and the Speed of Light | Transmission Lines | Electronics Textbook

なぜ交流?

確か高校で交流に出会った時はなんでこんなもん使うのかの意味がわからなくて困った記憶がある。

歴史的に、はじめての電流は「直流」つまり1方向に流れる電流が観察された(と思う)。古代ギリシャ時代に琥珀やら絹やらを擦り合わせて静電気が生まれたぞ!というのを除けば、1700年代ごろに「電気が貯められる瓶=ライデン瓶」というものがつくられて、そっから一瞬だけビッと電流が流れるのが観察される(ベン・フランクリンは雷からここに電気をためたりする)。その後18世紀末にボルタたちが銅と亜鉛の円盤を塩水を湿らせた布に挟んで交互に重ねることで「もっとたくさん電流が流れる」ことを発見、これが電池。ここまで直流。

その後この電池を使った電気の実験がたくさんなされて、電流と磁場って実は相互作用するんじゃね?てことがわかりはじめて、ファラデーがコイルの周りで磁石を動かすだけで電流が生まれることを発見!でも「磁石が動いた瞬間」しか電流が流れない。そこで磁石をコイルに近づけたり遠ざけたりすることで、行ったり来たりする電流がうまれる、、、これが交流だった。(ちなみに交流は必ずしも一定の速度変化じゃなくても「一定じゃなければ交流と呼ぶ」はず)

その他交流の特徴や利点はこのページなど詳しいが、簡単にまとめると:

1. 作り出すのが簡単

電池の場合は直流電流が流れるが、もっと大量の電流を作り出そうとすると電池では足りない。その場合は電磁誘導を使う;銅線の近くで磁石を動かすだけで電流が生まれるのだ(ファラデー様)。この方法で電流を生み出す場合、交流のほうがとても簡単で安全に作り出せる。

2. 遠くまで運ぶのが簡単

直流に比べて交流のほうが長距離の送電がお得だったらしい:電流戦争

3. その他のいろいろできる

変圧器

直流だとむずいが交流だと簡単。

モーター(右)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f1/3phase-rmf-noadd-60f-airopt.gif とくにテスラは20代半ばあたりに交流モーターのアイデアを出しまくって電気工学界&発明者の仲間入りを果たした。

イーロン・マスクの Tesla Motors はこのテスラの発明した AC Motor を使ってるから Tesla の名前を会社名として掲げたそうだ。というのを Wait But Why で読んだのを思い出した。ここの “How an AC Induction Motor Works Blue Box” に 交流モーターの動作原理について詳しい:

なんかもういろいろ

ここに詳しい: Edison Tech Center

疑問:交流の送電?

高校で交流電流と出会ったときから思っていた疑問:「交流を送電」ってどういう意味だよ? 発電所で交流電流を作り、それを各家庭に送っているとのことだが、上記のように交流電流というのもが「電流がいったりきたりするもの」ならばーー発電所から各家庭のコンセントまで「電流がいったりきたりしている」ということ? それが想像できなくて困った覚えがある。確か先生にも聞いて答えの意味がわからず電磁気に苦手意識をもった気がする。勿体無い高校時代を過ごした

たとえばこのページの図(下)をみるとかならず回路が閉じている。つまり全ての電線で回路は閉じててそこに電気がいったりきたりしている。たぶん。

https://sub.allaboutcircuits.com/images/02007.png

電流の速度と電子の速度

同様の疑問を感じた人がいたらしく、ここで議論されている:

質問者:たとえば電線に繋がれた電球を考える。交流電流は時間経過と共に方向を変える;つまり電子が電球をいったり来たりして、電気がつくということ?でもたとえば電線が超長い場合ーー3 * 108 m とかーーそういう場合でも電線の端から端まで「同時」に電子が動くワケ?

答えをざっくりまとめる:感覚的に答えれば、スゲー長い電線のどこでも電流がいったりきたりしていると考えていい。ちなみに電子それ自体が発電所から家まで移動する必要はない;水の流れのように、発電所から押し出されることによって家の近くの電流も家に押し出されるのだ。 おそらく。

ただしこのように考えられない時もあって、それは電線の長さが(周波数に対応する波長の長さに比べて)長くなったとき。そんなときは「電線」(つまり電気を流す線)ではなく、「伝送線路」つまり電磁波を流す線として考えた方が正しい。アンテナやケーブルテレビやその他電磁波回路はこれである。

追記:まさにこれ:Circuits and the Speed of Light | Transmission Lines | Electronics Textbook

もうすこし具体的にいえば

「電流(のシグナル)の速さ」は、「光の速度」をmaxとして進む。実際は電線が折れ曲がってたりその他の電磁気相互作用によって多少遅くなる。ここに詳しい:Speed of electricity - Wikipedia

Transmission line theory(伝送線路理論)によれば、伝送媒体(電線/導電体)の長さが、その周波数に対応する波長の1/10くらい以上になると、伝送線路として電磁波として考えた方がよくなる。

たとえば 60 Hz の交流電流の場合、1 波長の長さは 3 x 108 m / 60 Hz = 5000 km (光の速さ ÷ 周波数)。つまり5000 km 以上の電線に送電した場合に、電圧や電流が場所と時間に影響されうる。日本横断して3000 km、福島から東京まで 250 km くらいなので、発電所から交流電流を送るときには伝送線路のことを考えなくていい。んだとおもう。

参考ウェブサイト