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あれこれ

DNA ストレージ

DNA の情報ストレージ密度が上がった話。Science の pod がわかりやすかった。数年前に Church たちのグループ が本を書いてそれをストアした時はそれほどでもない情報密度だったが(むしろコンセプトベースの仕事であった)、今回違うグループから発表された方法(DNA Fountain)はDNAに保存できる理論限界に近づいたそうだ。DNA 1 g あたり 215 ペタバイト… という数字が何を意味するのかはピンとこないが、これまで人類が産み出した情報がすべてトラック数台分に詰まるらしい。

彼らの考えた方法でバイナリ情報(txtからmovからマルウェアまで)をAGTCに書き直して、それをオリゴ会社(Twist)に合成させて、MiSeq でハイスループットシーケンシングをして、すべてただしく情報が読み出せている、とのことだった。でもいまのところはオリゴ合成もシーケンシングも高いので実用向きではないと。でもたとえばamazonやfacebookのデータセンターがトラック数個分に置き換わるかもね、と。去年の秋から冬にかけてうちのラボから大量にtwistに発注して数ヶ月何も納品されないから会社を乗り換えたのだけど、もしかしてこれで忙しかったとか…

SciFri のほうではDNAは乾いた状態で保存するとか言っていたが、私的には生物に入れたほうがむしろ大量のバックアップが増えるから良い気がするのだけど。マスターは乾いた状態で持ってて、バックアップは生物に入れた状態で1つのグリストにあれば、乾いたほうが破壊されても(ブリーチとか)また増やせる?変異が入るからダメ?

Alternative Facts

去年一年間の大統領選で鍛えたおかげでニュースを聞いても憂鬱にならなくなってきた。最近きになるのは anecdotes と statistics と context がどう駆使されて alternative facts が紡ぎあげられているか:

日本のメジャー誌はコンテキストの解説が少なくて anecdotal な傾向にあるという個人的な印象がある。

雑記:難民研究者、餅つき、タバコ

難民研究者

www.acast.com

今週の nature podcast がいつもと違ってとてもジャーナリズムだった。こういうのも増やしてほしい。

うろ覚えだけど:研究者のシリア難民の話をしていた;フランスで食品科学に関するPhDとポスドクをしてシリアの大学にポジションを得たと思いきや 1年間の兵役に課せられ、ラボの学生とは電話などでやりとりをすることに。あと1ヶ月で終わると思った頃に内戦が勃発し、「あと1ヶ月延長」「2ヶ月」…と半年間延長されたところで、国から逃れることを決意。彼が言った、「私は研究者であり、教員であり、人を殺すために今までトレーニングを受けてきたわけではない」彼は我々と似たような人生を歩んできたのだ。国を出るときにもタイミングが悪かったり色々あって兄弟が捕まって殺され、残った彼ら家族はトルコ(だっけ?)に逃れ、そこで仕事を探し、何年か後についに難民研究者向けのグラント?かなんかに受かって、今はベルギー(だっけ?)の研究所で研究をしている;中東の食品素材を使ったチョコを開発してるとこのこと!でも家族の難民許可は下りず、とトルコ(だか)の国境も閉ざされていて、嫁と子供とは12月頭にskypeで話したっきりだと言っていた。幸せだけど幸せではないと。そしてシリアの大学でポジションをとって国内グラントをとって買った新品の機械(確か脂質を分析する装置)を一度も使わないままラボに置いてきたと。爆撃されて壊れたかもしれないし盗まれたかもしれない、わからない。

オリエンタルパトロール

千葉のムスリムがパトロールに参加してそのコミュニティと仲良くなろうとしている話。餅つき大会などにも参加していると。いい話だった。私は中東出身やムスリムの人たちを何人も知っててそのほとんどがことごとく平和主義で癒し系な感じで中東はわりとオリエンタルで美しくて優しいイメージを持ってるのだった。イメージって情報をどこで得るかによって全く変わってくる、たとえば日本に対してもアニメとかマリオとか任天堂とかいうイメージを持ってる人もいれば特攻で鬼畜な野蛮人だと思っている人もいる。アメリカの人種問題も根が深いし。どこにいってもいい人も悪い人もいる。

タバコスマグリング

Matt Apuzzo: How an Investigative Reporter Got His Story

Inside the Times podcast - すげー話だった。ATF という タバコ smuggling を捕まえるための組織がむしろ超組織的に タバコ smuggling で大金を着服していた…という procecution があって(それがそもそもひどい)、その情報が3月末まで非公開らしいんだが、そのチョットずつ漏れる情報をもとに NY Times の記者がいろいろ調査してスクープした話。その情報の集め方などがとても面白い。ネットにあがってる「本来は鍵つきPDFとして保存するべき情報」が「たまたま間違えてテキストファイルで保存されてた」りするのをかき集めて少しずつ情報を集め、関係者のリストを作ったりして、実際に話を聞きにいったりするなど。

すばらしい報道がたくさんある。

読書スランプと本との相性

www.asahi.com

個人的に思うのは:「読書スランプ」が起こる時点で、読みたく無い本を読んでるんじゃないかと思う(ただ彼が冒頭で引用した人たちは仕事で本を読まねばならなかったりするのでそれは別かもしれない)。

趣味で読むならば本は映画や音楽のようにすごく至福でリッチな体験であってよくて、苦しむ必要はないのだ。スマホのコンテンツをも読めないならば確かに「活字スランプ」かもしれないが、SNSやメールは読めて本が読めないのは、読んでる本と合わないだけだと思う。見たくない映画をみたり聞きたくない音楽を聴く人がいないように、読みたくない本はよまなければいい。私も「この本ダメー」と思ったらすぐ読むのをやめる、本にも相性はあるのだ。とここまで書いて、私の本の読み方は、清水幾太郎とすごく似ていたことを思い出した;彼の「本はどう読むか」に激しく同意しながら読んだ。本は魂の対話をする対象であって、盛り上がらない相手に無理やり付き合う必要はないのだ。

本はどう読むか (講談社現代新書)

本はどう読むか (講談社現代新書)

あと私は夏目漱石(とくに三四郎、それから、私の個人主義!)や丸谷才一や井上ひさしや舞城王太郎や保坂和志はとてもテンション上がりながら読み進めるのだけど、相性がとてもあわないのはたとえば山田詠美や村上龍や平野啓一郎など、全部途中で挫折した(批判するわけではない、相性が悪いだけだろう)。村上春樹は読みやすくて全部読んじゃうんだけどとくに好きでもない。英語でも素晴らしいノンフィクションライターは多く、Walter Isaacson の書く伝記はほとんど読んだし、その他素晴らしいサイエンスライターも多い。ピュリッツァー賞もらってる人であれば内容も噛み砕いているうえに文章もわかりやすいことが多い。日本にもこういうノンフィクションの賞ってあるのかしら?相性があうという保証ではないが、最初に選ぶための良い指標にはなる気がする。

本との相性というのはいろいろあって、それは単に文章のリズムの好みやトーンだったりするかもしれないし、あとは内容の背景知識が足り無くて著者と同じスタートポイントを共有してないのかもしれない。たとえば最近は「Team of Rivals」 というリンカーンの伝記読んで面白かったのでじゃあ次は civil rights 読もうと「Parting the Waters」という本に手を伸ばしたら後者はさっぱり意味がわからなかった;キング牧師の生まれ育った地域にある多数のキリスト教コミュニティの話から話は始まるのだけど、私にはアメリカ人が共有するであろう協会その他の常識を持ってないせいでこの本で使われる語彙とそこに含まれる意味が理解できなかったのであった。いつかもっとキリスト教やら協会やらをわかりやすく解説してあるような本を読んだあとになって初めてこの本が楽しめるだろう。

天声人語によれば調査対象の大学生の半分が全く本を読んでないそうだが、彼らは自分と相性のあう良い本を見つけたことがないだけじゃないかとも思う。本屋では内容の薄い新書や実用書が平積みになっていて、本当に内容がリッチな本が届きにくくなっている気もする

雑記:とぶ恐竜、移民

羽をもつ恐竜、カニバリズム - Science Podcast

恐竜がどうやって鳥へと進化してきたかの話。中国からたくさん羽根つき恐竜がみつかっているらしい。彼らは「いつか空飛べるようになりたいなー」と思いながらインテリジェントデザイン的に羽を少しずつ準備していたわけではもちろん無くて、むしろ体を温めるとか、他の目的で羽をつくっていた…ということがわかる化石が徐々にみつかっているらしい。あとは羽ではなくモモンガ?とかバット?みたいに皮膚を伸ばして羽にしてるっぽい恐竜?もいるらしい。あとは羽つき化石をみつけても彼らが飛んでいたのかいなかはわからない;だからその恐竜のコンピュータモデルをつくって流体力学的に空を飛べたのかどうかを調べているらしい…これはとてもクール

そしてこの本がとても気になる:Natural History といいつつ 2/3 くらいがヒトのカニバリズムの話らしい。ハンニバルレクターファンとしては読まねば。

Cannibalism: A Perfectly Natural History (English Edition)

Cannibalism: A Perfectly Natural History (English Edition)

The Daily (Feb 27, 2017) - NY Times Podcast

移民問題に関するとても面白い回だった。

イリノイのカルロスさんのお話。彼は20年前にアメリカに来て(家族の病気?)この約8000人だかの街で知らない人がいないほどの「いい奴」として知られていた。誰でもカルロスを知っている;その辺のカフェやパブであって自分のことを家族のように聞いてくれるカルロス。火事が起こったら現場近くにテントを張って食料を持ってきて消防隊員たちにくばるカルロス。離婚したときにも相談にのってくれるカルロス。市民の、いや人間の鑑のような男カルロス!と思いきやこの前のトランプの大統領令でいきなり逮捕され detain されてしまった。その街は経済も下向きでオバマケアがうまく回らず(保険料が2倍にもなってむしろ保険から抜けた人もいる)圧倒的トランプ支持の街だったのだが、カルロスが良い奴すぎたので皆に衝撃が走っている。カルロスがお荷物なんかじゃない、むしろ彼がいなくなることはその街の大損失であると。インタビューされていたカルロスの親友だという人は、まだ経済政策的にはトランプに期待をしてるし支持もしているが、移民政策に関しては反対になったと言っている。この問題に関しては彼だけでなく多くの人たちが、市長までもが出てきて、意見書を書いているとのこと。

ただ、そのような「何も悪くない undocumented immigrants」の話ばかりが取りだ足されるが、そのキレイな話の裏にはもちろん犯罪を犯している無許可移民だってたくさんいる。undocumented たちを探して見つけて逮捕する職員はいままでオバマ政権のときにはむしろ悪者であるかのように描かれていたのだけど、いまのトランプ政権によって「やっと自分たちが正義だと認識された」と思っていると。(でもオバマ政権のときもいままでになく大量に undocumented たちを重い犯罪をしたひとたちから deport はしていたのであり?)

2月に読んだ本

2月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:1304

Harry Potter and the Goblet of FireHarry Potter and the Goblet of Fire
読了日:02月23日 著者:J.K. Rowling
Thing Explainer: Complicated Stuff in Simple Words (English Edition)Thing Explainer: Complicated Stuff in Simple Words (English Edition)
読了日:02月20日 著者:Randall Munroe
Thank You for Being Late: An Optimist's Guide to Thriving in the Age of AccelerationsThank You for Being Late: An Optimist's Guide to Thriving in the Age of Accelerations
読了日:02月19日 著者:Thomas L. Friedman

読書メーター

酸化的リン酸化・電子伝達系・細胞呼吸

むかしは大腸菌しか扱っていなかったが、最近は嫌気性細菌 anaerobe や微好気性細菌 microaerobe なども使うようになったので、細胞呼吸 respiration についてイチから勉強した。覚えている範囲でここにメモる。日本語には良い微生物生理学の教科書が無いようなきがする。あったら知りたい。

細胞の中でおこるエネルギー変換

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Bacterial Physiology and Metabolism, p.98

  • 生物は、たくさんエネルギーをもつ栄養から電子を奪って、プロトン勾配(浸透圧エネルギー)または ATP(化学結合エネルギー)に貯める。酸化還元反応によってエネルギーを取り出すのだ。
  • 地球上の生物のエネルギーは、大元は太陽の光エネルギーまたは地球にある高エネルギー無機物や地熱から由来している。すべてはビックバンからはじまりエントロピー増大の法則に従うのである。散逸構造である。

エネルギー源たち

  • 光(autotroph)
    • 光エネルギーを使って水から電子をひっぺがし、膜状で電子をわたしてプロトン勾配をつくる
  • 有機物(chemoheterotroph)
    • 有機物栄養をいろんな代謝経路で分解してピルビン酸アセチルCoAにしたあと、TCAサイクルを回して電子/エネルギーを NADH や FADH2 などに貯め、膜状で電子伝達系を使ってプロトン勾配をつくる
  • 無機物(chemolithotroph)
    • H2SやNO2などの(グルコースほどではないにせよ)電子リッチな無機物から電子をひっぺがして Fe-S や cyt などの電子キャリアに貯めたりプロトン勾配に直接変えたりする
  • つまり
    • 1) 高エネルギー/電子リッチ化合物から電子をひっぺがし(エネルギー&電子ソース:光+水 or 有機物 or 無機物)
    • 2) 電子伝達系などを使って電子を受け渡すことで膜を介したプロトン勾配をつくり
    • 3) そのプロトン勾配のもつ「勾配がない状態に戻りたいエネルギー」を使ってATP合成酵素がATPを合成するのである

酸化的リン酸化・電子伝達系・細胞呼吸

酸化的リン酸化 oxidative phosphorilation という単語は直感的にイメージがわかないのであまり好きではないのだが、要は電子リッチな高エネルギー化合物を酸化(つまり電子をひっぺがし)、細胞膜上で次々と電子を渡す過程でプロトンを片側からもう片側に汲み出してプロトン勾配をつくり、その勾配の力でADPをリン酸化してATPをつくるというもの(とてもわかりにくい)。日本語の場合「oxidation = 酸化」と「phosphorilation = リン酸化」と、酸化という単語が2回出てくるのがややこしくしているきがする。

電子伝達系 electron transport chain のほうがかなりポイントを得た表現方法である。でもこれだと電子が伝達していることしか表現しておらず、ポイントは電子伝達によってプロトン勾配が作られてそれがさらにATPを合成しているところである。Electron transport proton gradient ATP synthesis? 余計わかりにくいかもしれない。そもそも仕組み自体が直感的じゃなさすぎるのがいけない。

細胞呼吸 Respiration も大変ややこしい言葉ではある。これはむしろ最終電子受容体を意識した単語かもしれない。高エネルギー化合物から電子を奪って渡して最終的に電子を落っことすのが分子状酸素 O2 であった場合、これは好気呼吸 aerobic respiration と呼ばれる。一方で電子を渡すのが無機物(NO3-など)であった場合、嫌気呼吸 anaerobic respiration と呼ばれる。酸素は超電子を受け取りやすい(=電子を受け取るとたくさんのエネルギーを放出できる)ので、酸素を最終電子受容体に使うとエネルギーリッチ化合物たちのもつエネルギーをさらに効率よく使えるのだ。3階から落としたボールを2階で受け取るのが1階で受け取るのか穴を掘って地下10m で受け取るのかで受ける側の衝撃は違って、酸素はその深さ max な分子なのである。大昔の地球の大気にまだ O2 がなかったころ生物は嫌気呼吸をしていてエネルギー取り出し効率もさほど高くはなかったが、光合成の副産物として O2 がつくられたとき、うまく使えばエネルギー取り出しまくり装置になれたのだ(逆に電子を奪いまくるのでO2 からO2-やH2O2などが生まれてしまい毒性もとても高かったのだが)。

ただし、以上3つの単語は微妙に違うことも表現している;おそらくその単語が生まれたのは歴史的経緯があるのだろうが(今ほど分子メカニズムはわかっておらずブラックボックスも多かっただろうし)、今の私の感覚でいえば、電子伝達系という言葉はそのシステム(タンパク質たち)自体を指す言葉であるのに対し、酸化的リン酸化という言葉はATP合成の現象を指す言葉だと思う(ソースは無い、あくまでも感覚)。細胞呼吸という単語は、好気/嫌気呼吸を区別するときや発酵 fermentation(細胞膜上での呼吸/電子伝達系/酸化的リン酸化を使わずに細胞質中で化学反応だけで代謝すること)と区別したいときに使うようなきがする。

ミトコンドリア?

この電子伝達系に関して、生化学や分子生物学の教科書ではミトコンドリアで説明されていて他の生物について言及がほとんどないのだが、それも物事をややこしくしているようなきがする(というか私はそのおかげで長いこと混乱していた)。真核生物 eukaryotes において電子伝達系が存在するのはミトコンドリアだけであるが、ほかの真核生物 prokaryotes(真正細菌 eubacteria、古細菌 archaea)たちにミトコンドリアはない(むしろ真正細菌のひとつである alphaproteobacteria がミトコンドリアの祖先である)。ミトコンドリアは電子伝達系を理解するのに便利なシステムではあるけれど、電子伝達系自体はすべての生物に共通する極めて普遍的なエネルギー生産システムなのだ。

なのでまずミトコンドリアを例にとってタンパク質等のメカニズムを学び、そののち他の微生物でどうなってるのかを学ぶのが効率の良い勉強方法である。

On the origin of respiration: electron transport proteins from archaea to man | FEMS Microbiology Reviews | Oxford Academic

(つづく)

参考

今週のサイエンスニュース

今週の Science Friday はとてもよかった。

特に Self-driving cars や Internet of Things のハッキングをどう防ぐ?

という話もそうだけど、何より、40光年先の 7 つの地球的!?な惑星!

MIT の教授読んで解説している。7つの惑星が並んでる理由はお互いの距離がすごく近いせいでお互いに重力がかかってるんじゃないかと思われるらしい。そして Planet Hunters という一般の人たちのちからで惑星をみつけようというプロジェクトを紹介していた。ケプラー宇宙望遠鏡でとったいろんな恒星の光のデータのプロットから惑星を探すプロジェクト。惑星が恒星の前を通るとチョット暗くなるのだけど、コンピュータ処理ではみつけきれないパターンを人の目でみつけようという話で、実際なんこか新しい惑星みつかったらしい(今回の7つの惑星がこっからみつかったのかどうかはわからない、わすれた)。最近とても宇宙があつい。あとは新しい抗生物質の発掘作戦について:

最初のほうは抗生物質を探索してる研究者のひとたちの話で、途中からその研究資金を投資する組織のひとがでてくる。その後者のひとの話がとても参考になる。抗生物質は他のブロックバスター的な薬にくらべてカネにならないらしく、だからその辺の構造を組織的に変えてインセンティブを作る必要があると。

そういえばこのまえバイオフィルムに電気を流してパーシスタの発生を抑えて抗生物質の効きをよくするというのを聞いた。あとはペニシリンの結合ターゲットである PBP タンパク質 が実はペプチドグリカン合成に必須ではなく、むしろ SEDS タンパク質が大事だったという研究をラボで紹介してるひとがいて、じゃあつまり SEDS もいい抗生物質ターゲットじゃない?みたいな話をしていた。

あとは先週あたりだけど、 CRISPR 特許バトル。

あらゆるところでニュースを聞くのだけど、みんなことごとく Doudna たちに同情的なニュアンスな気がする(NY Times などはとくに)。Zhang もすごいじゃん?

あとついでに Biovermiculations というファンシーな名前に関する記事をみつけた。生物蠕動。

移民問題と銀河系植民地化の話

上野千鶴子氏の「平等に貧しくなろう」炎上したとき、私はむしろ上野氏の言うことのほうが内容的には的を得ている気がして(※意見には反対だが)なぜだろうとしばらく違和感を覚えていたが、ご本人がブログで反論していたらしい。この文章がまさに私のモヤモヤを表現していた:

「移動の自由」と「労働の自由」を唱える「正義」のために、移民導入には表だって反対しないものの、現行の入管法を維持したまま、小出しに特例をつくっていくような姑息な政府のやりかたに怒りを覚えつつ、結果として沈黙によって追認を与えてしまっている事実を、わたしは苦い思いとともに自覚しています。その点では、移民導入是か非かの議論を避ける多くの人たちも、同じではないでしょうか。

とても的を得ている。

彼女の論が炎上したのは、読者と事実の共有ができていないからじゃないかしら。国際ニュースについては私は NY Times や BBC Wolrd Service の2つを追ってるだけだけど、そこらへんの移民・難民問題の知識からすると、上野千鶴子が言ってることは世界の移民大国で起こっていることであって、特に憤ることではない;「移民が来たら排他主義が盛り上がる」のは事実として共有されてるし、(だからその抵抗勢力も頑張ってるわけだが)排他主義が盛り上がるという発言自体を「意見」だとしてとらえる人はあまりいないんじゃないか。あとは Brexit や Trump やシリア難民やアフリカ難民のおかげで最近たくさんの podcast やネット記事が移民難民について議論されまくっている。私がよく読むのは NY Times (← FAKE NEWS by Trump だが) もそうだけど最近は Planet Money や The Guardian, Atlantic, らへんでいい記事をたくさん読んだ。

一方で私も日本にいたころの朝日や読売を読んでいた感覚だと、移民や難民というものの捉え方がそもそも違う気がする。でもまあ西欧における移民問題の爆心地であるアフリカや中東から日本はかなり遠くて、日本はむしろ東南アジアからの移民難民がメインだからこそ議論の種類が違うのかもしれない。でもアフリカや中東の大問題を無視するわけにもいかない;いまの時代、距離なんて関係あるのか?地球の資材を使ってお金持ちになってしまった先進国としての責務は?でも日本の場合、西洋のキャピタリズムと帝国主義に搾取されないように近代化して、その結果原爆でやられるという微妙な過去を追っていて、その辺の歴史がいろいろをうやむやにさせるのかもしれない。と、適当にまとめる。

以上、上野氏の意見は同じような背景知識を共有してこそ相手に伝わるのでは。日本のジャーナリズムが世界の移民の現状や世論をもっと報道したらいいのでは。

でもそれを踏まえた上で、彼女が最初の紙面上で言った「平等に貧しくなろう」という意見自体には反対ではある(続くブログ上ではこの発言はむしろ問題提起のきっかけを作りたかったとは言っていて、まあそうだろうなとも思ったが;そして実際話題になって人々に考えるキッカケを与えてはいる)。確かに日本の現状を見てると悲観主義には陥りがちで、平等に貧しくなると覚悟を決めるしかないんじゃないかという気がしてくるのもわかる。でも私は国が多少荒れても移民を受け入れていってほしい。まあ荒れないのはベストだけど最近のアメリカを見てるとそんなの夢物語だなと思ってくる。荒れるのは避けられなくて、それでも希望を持って自由と平等のために戦うのだ。

(以下妄想)

というのは極めてscience fiction的な理由である。いま The Expanse という TV シリーズを見ていて、ちょっと先の宇宙、銀河系をコロナイズした人間たちがEarth と Mars とアステロイドベルト(The Belt)のあいだで戦争を起こす話が超おもしろいのだけど、まあ公用語は英語だよなーと思いながら見ている。 AIが発達して日本語が英語に簡単に翻訳できるにしても、やはり文法的に違いすぎるから日本語話者はディスアドバンテージが大きすぎる。ITやIoTやニューラルレースやその他もろもろ機会やネットワークとのコミュニケーションは英語がキーである。保険としてロシア語?いろんな言語に徐々に技術は翻訳されるし AI も発達してはいるしそのうち Babel Fish などもつくられるかもしれないが、とはいえ最先端は常に英語だし、グローバリゼーションで世界中に英語話者が増えてきているいま(中東やアフリカやその他の貧しい国でもネットを通してタダでMITコースなども受けれるわけだし)それによって英語による情報も加速度的に増えてるし、個人的には英語ができるヒトとそうでないヒトでは生存率が全く違うような気がしている。間違ってるかもしれないけど。でも今後気候変動による環境難民が増えてきたら住む場所を変えざるをえず、そんなときには英語ができるか否かでかなり特権は違うような気がしている。私は終末論的・ディストピア的妄想がすぎるかもしれない。

いま Brexit や Trump のせいで世界がどっちに向かってるかわからないが、長期的に見ればグローバリゼーションはどんなにあがいても止められないとおもう(というのは Thomas Friedman / Thank you for being late の受け売り)。なのでもっとコラボレーションコミュニケーションが進めばいいと思うし、そのためには英語なのだ。インドやシンガポールのように第一公用語が英語、第二公用語が日本語、みたいなことにできれば素晴らしいと思う。とにかく移民をたくさん取り入れて数百年後(に人類がまだ存続していれば)に日本が活躍していればいいなあ。とはいっても平等に貧しくなってもその後人々が減ったら逆に弱体化した日本が違法移民の流入が防げずに結果的に同じようなことにはなるかもしれない。とこんな妄想をしても仕方がなく、問題はそんな数百年後どうこうという話ではなくて、いま&次の世代の人間たちにとってどうすれば世界が住み良くなるかということなのだけど。どうしても妄想癖が止められずろくな議論ができないのだった。

憂鬱のトリガー

最近とんでもなく憂鬱な時が結構多い。その憂鬱になる原因はわからないのだけど(むしろ沢山ありすぎて特定できないのかもしれない)、その中でも自分をさらに憂鬱にさせるのは「自己肯定感のなさ」である。自分クソダメ〜って思うたびに憂鬱さが増幅されるのだ。

でもそういうことを考えたときにふと思うのは、憂鬱と、自己否定感、どちらが先なのか?いろいろあった後の憂鬱な気持ちから勝手に始まった脳内連想ゲームの結果、自己否定に陥るのか、それともそもそも自己否定的思考回路が最初におこってそこから憂鬱がトリガーされるのか、どちらなのか?考えてもよくわからないしはっきり言えないのだけど、なんとなく雰囲気的に「憂鬱」からはじまって「自己否定」に陥っていくような気がする。自己否定しようと脳が思い立った瞬間はすでに憂鬱であることが多いのだ。ハッピーな状態で「自己否定するぜ」とはあまりならない気がする。

じゃあ最初の「憂鬱」は何がトリガーなのかと考えると、普段の何気ない行動のありとあらゆることがきっかけとなってるんじゃないかしらと思う。最近は明らかに周りの人の不幸があったからそれはわりと自明なのだけど、その他、ただ「食べ過ぎて苦しい」とか「睡眠不足で眠い」とか「寒い」とか「洗濯物が溜まってて着る服がない」とか(最後はむしろ自己否定の種でもある)、そういうほんのチョットしたきっかけが自分の憂鬱の種を作っているような気がなんとなくしている。私は自分の体のモニタリングが下手なのだ。なんか調子悪いと思ったらご飯食べてなかった〜とかよくある。ただの「身体の不調」と「負の感情」が上手に分けられない気がする(というのはアスペルガーや自閉症的だというのをどこかで読んだ気が)

そうしていったん憂鬱になってしまった状態で脳を制御せず遊ばせておくと気づけば「私はなんてダメな人間なんだあ」といういろんな思考が頭の中を巡っていて1日を送るのがとても大変になるのだった。

とはいっても、ただ経験的に自分が憂鬱になるのはくだらないことがキッカケだという自覚はあるし、自己否定は甘えだとも思うので(←だから「自己否定をしてる自分はなんて甘えたやつなんだ」という自己否定が発生するわけだが)逆に憂鬱で自己否定的な自分に気いたらそれをネタにして真剣にとらえないようにして生きていくことはできる。悲観は気分、楽観は意志である。意志の力が弱まるとエントロピーにまかせて悲観的になってしまうのではあるが

昨日まで長いこととても憂鬱で死にそうだったのだけど(という自分を客観的に眺める第二の自分とともに脳内で共存してたのだけど)、今日よくわからんが朝起きた瞬間に憂鬱が襲ってこずわりと頭がすっきりしていた。「ムッそういえば元気だったころこんな感覚だった気がする」と突然思った。というか、朝起きたときに「普通」な自分を自覚し、それによって逆に最近の自分が慢性的憂鬱だったかもしれないことに気づいた。でもだからといって喜んでいてもそのうちまた慢性憂鬱が帰ってくる気がするのであまり期待もしないのだけど。慢性な憂鬱でもそれを受け入れてしまえば人生それなりに楽しく過ごせる(←矛盾)気がしている。なんてことが言える自分はそれなりに幸せでもあるんだろう。